■三国志雑感>献帝のろくでなしスポンサー
皇帝らしからぬ放浪を迫られた献帝。果たして、どれだけの人が献帝をパス回ししたのでしょうか。長安脱出から許昌軟禁までの、混乱期の動向を中心に、見てみようと思います。
  ■即位まで 董氏:霊帝の母 劉協を保護しようとしたが、何氏に殺される。   王氏:霊帝の美人 献帝の母だが、何氏に殺される。   張譲:宦官。中常侍。 袁紹が宦官皆殺しをしたとき、献帝を連れて逃げ出した。   董卓:西涼の野獣。太師。 献帝を即位させた張本人だが、呂布に殺される。詳細は触れません。   王允:司徒 董卓から献帝を奪ったが、并州政権はしょぼかった。   ■董卓の1級臣 李傕: 董卓の将。車騎将軍!(大司馬?) 袁術派(公孫瓉・陶謙)と結び、献帝の名前で官位を発行。 長安で献帝を抱え込み、郭氾と対抗。張済に和解させてもらう。 洛陽に戻るのは辞めようという郭氾に同調し、弘農で官軍を撃破。 部下の楊奉と和解し、献帝の追撃を停止。198年、裴茂に討たれた。   郭氾: 董卓の将。後将軍! 李傕の家に寝泊りしていたので、郭氾妻が嫉妬して、2人を対立させる。 長安から洛陽に献帝が移動するとき、献帝を長安に連れ戻そうとした。 官軍を壊滅させるが楊奉に負け、献帝は逃げた。部下の伍習に殺された。   張済: 董卓の将。驃騎将軍! 長安で李傕と郭氾が争い始めたとき仲裁。洛陽遷都を勧めた。 洛陽行きに反対した李傕・郭氾に味方して、官軍を攻撃。 献帝には逃げられたので、南陽郡宛城に割拠しようとして、流矢にヒット。   ■董卓の2級臣 董承: 董卓の将、牛輔の部曲。車騎将軍! 李傕・郭氾から献帝を守り、洛陽へ導く。船にすがり付く官人の指を切る。 南匈奴の去卑、白波賊の李楽・韓暹と結んだが、対立。曹操と結んだ。 娘の董貴人は献帝の子を身ごもるが、200年に曹操に族殺された。   楊定: 董卓の将。王允に従ったが、李傕に投降。後将軍! 195年に李傕と郭氾が対立すると、郭氾に付いたが、献帝を奪われた。 新豊で郭氾が心変わりすると、献帝を守った。 華陰で段煨が献帝を招こうとしたが、楊定は段煨と不仲ゆえに合戦。 楊定と段煨は戦ったが、決着が付かず。李傕・郭氾が段煨を助けたため、退路を絶たれて荊州に逃げた。洛陽に入ることなく、以下不明。   段煨: 董卓の将軍。中郎将。 董卓の臣として、華陰を反董卓同盟から守った。 楊定と対立し、献帝を迎え損なう。裴茂に付いて、李傕と郭氾を破った。 賈詡を飼っていたが、使い切れず逃げられた。賈詡の家族を養った。   ■河東の白波 楊奉: 河東の黄巾頭目。李傕に臣従。徐晃の主。車騎将軍! 195年、宋果とともに李傕暗殺を試みて、ミス。李傕から離反。 洛陽に移る途中で攻められ、董承と共に戦う。白波の旧友、韓暹の協力を得て勝利。 洛陽で、董承・韓暹らと争い始め、曹操が介入。部下の徐晃が降伏した。 献帝を奪われ、袁術を頼った。袁術の将として呂布と戦う。 197年袁術僭号のとき、呂布に帰順。呂布に敗れた劉備に討たれた。   韓暹: 河東の黄巾頭目。李楽・胡才の同僚。大将軍! 李傕と郭氾に攻められた楊奉・董承を助けて、献帝のスポンサーに合流。 好き勝手に官位を発行し、董承と対立。楊奉と共に、曹操に敗れた。 袁術、呂布と主を変え、楊奉が劉備に討たれたとき逃亡。 郷里に帰る途中に、旧友の張宣に討たれ、首が劉備に送られた。   李楽・胡才: 河東の白波族。それぞれ征北将軍、征西(東)将軍。 李傕郭氾に攻められた董承・楊奉を助けた。 洛陽まで護衛した後は、河東に帰った。李楽は病死、胡才は怨恨で殺さる。 洛陽入後、『演義』で李楽は李傕郭氾に付こうとしたが、徐晃に斬られた。   ■独立を狙う勢力 張楊: 丁原の臣、蹇碩の仮司馬、何進の臣。於夫羅の捕虜。大司馬! 長安から洛陽の途中、安邑で献帝と合流。 洛陽行きを主張したが、楊奉らが従わないので、一旦は献帝から離れた。 野王から洛陽の献帝を支援したが、呂布救援をためらい、楊醜に殺される。 楊醜は同僚の眭固に討たれ、眭固は曹操が討った。   曹操: 袁紹の将。魏王(笑) 献帝を奪ってきて、袁紹からの独立を狙う。 楊奉の臣だった徐晃を、配下に吸収した。   曹丕:魏の文帝 禅譲を迫り、特別待遇で献帝をお取り置き。
  以上で、献帝のスポンサー権を巡る対立を終わります。 特に流浪期に顕著ですが、びっくりするくらいに、全員の官位が高いのが、笑えてきます。三公九卿レベルが、悲しいくらいに連発されている。まるで器でもない人物なのに。 このときの献帝は、もはや皇帝というよりは、ほら吹きの一国の王みたいなものですね。   劉備のことを、流寓マンだと馬鹿にすることも出来ますが、献帝のほうが、よほどヒドいじゃないか。まあ、自らの意思ではないので、情状酌量の余地はあるんだが。080202
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