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『逸周書』諡法解の訓読1

ぼくたちが、諡号をつけたいときに、参照できるように、『逸周書』諡法解を訓読しておきます。ちょっと長いので、適当に小見出しを付けますが、まったく典拠のある分類ではありません。

今日、こんな会話をしました。
@awawaasao2014 さんはいう。ねえ。誰か、袁術に諡号付けてあげる優しい御仁はいないの?蜜帝とかダメだぞ
ぼくはいう。『諡法解』に、「嗇於賜與曰愛(賜与を嗇しむを愛と曰ふ)」とあります。孫堅には兵糧を出し惜しみして困らせ、孫策から兵・玉璽をぱくり、太守にしてあげないというエピソードを前面に出すなら、愛皇帝なんて、どうでしょう。愛されキャラになってほしいですし。
……というわけで、いつでも諡号をつけれるように、『諡法解』を読んでおきます。


導入文と、絶賛する諡

諡は、行の跡なり。號は、功の表はれなり。車服は、位の章なり。是を以て大いに大名を受くるを行なふ。細行すれば細名を受く。行 己より出で、名 人より生ず。

「名」というものの本質を言い当てている!自分がどういうつもりで行動したかではなく、死後に、行動がいかに評価されたかによって、諡が決まるのだ。生前の名は、「みんな、オレをこう呼んでくれ」と言えるから、まだ中途半端である。死後、発言する口が塞がれてから、他者によって「名」が決まるのである。


民 能く名づくること無くば、「神」と曰ふ。

臣民から見て、名づけようがない(ほど素晴らしい)功績を持っている君主には、「神」を諡すると。

善を称へて賦すること簡なれば、「聖」と曰ふ。

【簡】は、おおまか、手軽、威風堂々たる、盛大な、など。ここでは、善行をたたえて、おおまかに単純に素直にそれを表明したければ、「聖」を付ければ良いよ、と解釈する。

賓〈客〉を敬ひて礼を厚くすれば、「聖」と曰ふ。

君主の称号それ自体みたいな諡

徳 天地を象〈かたど〉れば、「帝」と曰ふ。
民を静かならしめ、法に則れば、「皇」と曰ふ。
仁義 在る所なれば、「王」と曰ふ。
賞は慶あり、刑は威あれば、「君」と曰ふ。
之に従ひて群を成せば、「君」と曰ふ。

この人に従属して、多くの人が集まってくれば、の意か。

制を立てて衆に及ぼしめば、「公」と曰ふ。
応を執ること八方なれば、「侯」と曰ふ。

この人に応じてきた人が、八方から来てたなら、の意か。


簡・文・武・恭

徳を壱として解けざれば、「簡」と曰ふ。

徳を1つだけ、ちゃんと持ち、分裂していなければ、の意か。

平易にして疵あらざれば、「簡」と曰ふ。

平易で分かりやすく、破綻や矛盾がなければ、の意か。


経緯 天地なるを、「文」と曰ふ。

いろんな意味がありそう過ぎて、解釈できません。

道徳 博く厚ければ、「文」と曰ふ。
学ぶことを勤め、問ふことを好めば、「文」と曰ふ。
恵みを慈しみ、民を愛すれば、「文」と曰ふ。
民を愍〈あは〉れみ、礼を恵まば、「文」と曰ふ。
民に爵位を錫〈たま〉へば、「文」と曰ふ。

剛強にして理直なれば、「武」と曰ふ。
威強にして、叡徳なれば、「武」と曰ふ。
禍乱を克定すれば、「武」と曰ふ。
民を刑し、服するを克すれば、「武」と曰ふ。
志を夸り、窮すること多ければ、「武」と曰ふ。

志を誇張して、大きく言うことで、追いこまれることが多ければ、の意?「武」に、悪い意味があるとは思えないから、読み間違えだろう。


敬事して上を尊べば、「恭」と曰ふ。
賢を尊び、義を貴べば、「恭」と曰ふ。
賢を尊び、譲を敬べば、「恭」と曰ふ。
既に過〈あやま〉ちて能く改むるを「恭」と曰ふ。
事を執るに、堅固たれば、「恭」と曰ふ。
民を愛し、弟を長ぜしむれば、「恭」と曰ふ。
礼を執り、賓を御すれば、「恭」と曰ふ。
芘親之闕を、「恭」と曰ふ。

「芘」を『漢辞海』で見つけられなかったので、分かりません。

賢を尊び、善に譲るを「恭」と曰ふ。

意か、気が向いたら増やします。141020

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『逸周書』諡法解の原文(コピペ)

『中國哲學書電子化計劃』から、テキストを頂戴しました。
訓読は、これを底本にしてやってます。

維三月既生魄。周公旦,大師望相嗣王發。既賦憲受臚于牧之野。將葬。乃制作諡。諡者。行之跡也。號者。功之表也。車服者。位之章也。是以大行受大名。細行受細名。行出於己。名生於人。民無能名曰神。稱善賦簡曰聖。敬賓厚禮曰聖。德象天地曰帝。靜民則法曰皇。仁義所在曰王。賞慶刑威曰君。從之成群曰君。立制及眾曰公。執應八方曰侯。壹德不解曰簡。平易不疵曰簡。經緯天地曰文。道德博厚曰文。勤學好問曰文。慈惠愛民曰文。愍民惠禮曰文。錫民爵位曰文。剛彊理直曰武。威彊叡德曰武。克定禍亂曰武。刑民克服曰武。夸志多窮曰武。敬事尊上曰恭。尊賢貴義曰恭。尊賢敬讓曰恭。既過能改曰恭。執事堅固曰恭。愛民長弟曰恭。執禮御賓曰恭。芘親之闕曰恭。尊賢讓善曰恭。
照臨四方曰明。譖訴不行曰明。威儀表備曰欽。大慮靜民曰定。安民法古曰定。純行不爽曰定。諫爭不威曰德。綏柔士民曰德。辟地有德曰襄。甲冑有勞曰襄。有伐而還曰釐。質淵受諫曰釐。小心畏忌曰釐。博聞多能曰憲。聰明叡哲曰獻。知質有聖曰獻。溫柔聖善曰懿。五宗安之曰孝。慈惠愛親曰孝。協時肇享曰孝。秉德不回曰考。大慮行節曰考。執心克莊曰齊。資輔共就曰齊。淵源流通曰康。豐年好樂曰康。安樂撫民曰康。令民安樂曰康。安民立政曰成。布德執義曰穆。中情見貌曰穆。敏以敬順曰頃。祗勤追懼曰頃。慈仁和民曰頃。昭德有勞曰昭。威儀恭明曰昭。聖聞周達曰昭。保民耆艾曰胡。彌年壽考曰胡。彊毅果敢曰剛。追補前過曰剛。柔德考眾曰靜。恭已鮮言曰靜。寬樂令終曰靜。治而無眚曰平。執事有制曰平。布綱持紀曰平。由義而濟曰景。布義行剛曰景。耆意大慮曰景。清白守節曰貞。大慮克就曰貞。不隱無屈曰貞。外內用情曰貞。猛以剛果曰威。猛以彊果曰威。彊毅信正曰威。治典不殺曰祁。辟土服遠曰桓。克敬勤民曰桓。辟土兼國曰桓。道德純備曰思。大省兆民曰思。外內思索曰思。追悔前過曰思。柔質慈民曰惠。愛民好與曰惠。柔質受諫曰慧。能思辨眾曰元。行義說民曰元。始建國都曰元。主義行德曰元。兵甲亟作曰莊。叡圉克服曰莊。勝敵志強曰莊。死於原野曰莊。屢征殺伐曰莊。武而不遂曰莊。克殺秉政曰夷。安民好靜曰夷。執義揚善曰懷。慈仁短折曰懷。夙夜警戒曰敬。夙夜恭事曰敬。善合法典曰敬。述義不克曰丁。迷而不悌曰丁。有功安民曰烈。秉德遵業曰烈。剛克為伐曰翼。思慮深遠曰翼。剛德克就曰肅。執心決斷曰肅。愛民好治曰戴。典禮不塞曰戴。死而志成曰靈。亂而不損曰靈。極知鬼神曰靈。不勤成名曰靈。死見神能曰靈。好祭鬼神曰靈。短折不成曰殤。未家短折曰殤。不顯尸國曰隱。隱拂不成曰隱。年中早夭曰悼。恐懼從處曰悼。不思忘愛曰剌。愎佷遂過曰剌。外內從亂曰荒。好樂怠政曰荒。在國逢難曰愍。使民折傷曰愍。在國連憂曰愍。禍亂方作曰愍。蚤孤短折曰哀。恭仁短折曰哀。蚤孤隕位曰幽。雍遏不通曰幽。動靜亂常曰幽。克威捷行曰魏。克威惠禮曰魏。去禮遠眾曰煬。好內遠禮曰煬。好內怠政曰煬。肆行勞神曰煬。醜心動懼曰甄。威德剛武曰圉。善聞周達曰宣。治民克盡曰使。行見中外曰愨。勝敵壯志曰勇。昭功寧民曰商。狀古述今曰譽。心能制義曰度。好和不爭曰安。外內貞復曰白。不生其國曰聲。暴慢無親曰厲。殺戮無辜曰厲。官人應實曰知。凶年無穀曰糠。名實不爽曰質。不悔前過曰戾。溫良好樂曰良。怙威肆行曰醜。德正應和曰莫。勤施無私曰類。好變動民曰躁。慈和遍服曰順。滿志多窮曰感。危身奉上曰忠。思慮果遠曰趕。怠政外交曰攜。疏遠繼位曰紹。彰義掩過曰堅。肇敏行成曰直。內外賓服曰正。華言無實曰夸。教誨不倦曰長。愛民在刑曰克。嗇於賜與曰愛。逆天虐民曰抗。好廉自克曰節。擇善而從曰比。好更改舊曰易。名與實爽曰繆。思慮不爽曰厚。貞心大度曰匡。隱哀之方。景武之方也。施為文也。除為武也。辟地為襄。服遠為桓。剛克為發。柔克為懿。履正為莊。有過為僖。施而不成為宣。惠無內德為平。失志無轉則以其明。餘皆象也。和,會也。勤,勞也。遵,循也。爽,傷也。肇,始也。乂,治也。康,安也。怙,恃也。享,祀也。胡,大也。服,敗也。秉,順也。就,會也。𢢈,過也。錫,與也。典,常也。肆,放也。糠,虛也。叡,聖也。惠,愛也。綏,安也。堅,長也。耆,彊也。考,成也。周,至也。懷,思也。式,法也。布,施也。敏,疾也。捷,克也。載,事也。彌,久也。

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