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劉備統一のシナリオ、廖立伝
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4)残念なのは・・・
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◆劉備の天下
イフ物語の結末です。
曹操は関羽を恐れ、洛陽から鄴に遷都する。孫権は、劉備から呉王に封じられる。
劉備は光武帝のように、漢朝を復興して、前代とは別系統の血筋ながら、代々皇帝を輩出していくでしょう。
『反三国志』は、何回読んでも、途中で飽きてしまうが、、
やたらめったら、「軍師が死なない」という幸運を持ち込まなくても、劉備が天下を統一することは、可能だったんじゃないか。
諸葛亮ではなく、廖立が軍師だったならね。
◆諸葛亮の危機意識
以上、廖立が諸葛亮に呈した苦言から、推測したストーリーでした。 廖立が、結果論から「ほら見てみろよ」と言うだけの人物なら、諸葛亮は彼を左遷なんかしない。 廖立の戦略眼はホンモノだから、長水校尉に移されたのでしょう。陳寿は書き留めてないが、ことあるごとに諸葛亮に対する、説得力のある代替案を出していたから、懼れられたのだ。
「万民は、私(諸葛亮)の言うことが正しいのか、廖立が言うことが正しいのか、判断できない。だから、廖立が万民を惑わせないように、田舎に追放するのです」
諸葛亮の上表文は、皮肉にも、廖立の優秀さを伝えている。
これより前、呂蒙に荊州を奪われたとき、廖立はこらえ性もなく長沙郡を捨ててしまう。
「廖立がもっと粘れば、荊州は劉備が保てたかも」
と叱りたくなるが、それが無理な責めであることは、劉備がいちばん知っていた。だから逃げてきた直後に、以前と同じように太守の位をもらえたのだ。巴郡にて。
廖立としては、
「諸葛亮さんが、益州の奪取に手こずるせいで、荊州の東部を取られた。長沙を捨てた私ではなく、戦略担当の諸葛亮さんの責任ではないか。勘弁してくれ」
と言いたかったはず。いや、実際に口に出していたかも知れない。
◆おわりに
益州の1国では、兵力が少ないというハンデがあったが、それよりも、
「諸葛亮のワンマンが行き届いてしまう」
というハンデの方が、大きかったのではないか。残念だ。
せめて荊州が残っていれば、諸葛亮だけでは手が回らず、もう1人か2人の軍師が活躍する機会が残せただろうに。
蜀ファンは、永遠に望みを果たせないまま、イフ物語に悲願をかけるのでしょうか。廖立は、その叶わぬ夢を託す人物として、最適だと思います。もっと注目されていい。
090710
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このコンテンツの目次
劉備統一のシナリオ、廖立伝
1)廖立の列伝まとめ
2)もうひとりの戦略家
3)軍師・廖化のイフ物語
4)残念なのは・・・
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