02) 楊脩と曹操の文字クイズ
『世説新語』に登場する曹操を、全て見ています。
捷悟1、楊脩の文字クイズ
楊脩は、曹操の主簿だった。
相国の門を作ったとき、曹操は門に「活」と書かせた。楊脩はこれを見て、すぐに門を壊させた。
「楊脩さん、なぜ壊すんですか?」
「門がまえに活と書くと、闊という漢字になる。これは、ひろいという意味だ。曹操さまは、門が大きいのを嫌ったのだ」
楊脩は、自らが述べた意見に対して、曹操から諮問があると思った。楊脩は使者に、たくさんカードを持たせた。
「曹操さまから下問があるだろう。このカードの順に答えなさい」
しかし風が吹いて、カードの順序が解らなくなった。使者は、順序を間違えた。曹操は、返答内容を不審に思って、楊脩を詰問しました、と。
参考文献では「数」を「数枚の」と訳しているが、「たくさんの」と読むべきだと思う。
楊脩の越度は、カードに通し番号を付けなかったことだ。連番を付けて、ユニークなキーで管理できるようにしないと、後工程の人が困る。毎日の仕事で、ぼくが実感していることだ (笑)
捷悟2、続・楊脩の文字クイズ
曹操はヨーグルトを手に入れた。曹操はちょっとだけ自分で飲み、フタに「合」の字を書いて回した。人々が戸惑っていると、楊脩は迷わず、1口飲んだ。
「楊脩さん、勝手に飲んでも平気か?」
「もちろん平気だ。一人口と書いて、合という漢字になる。一人一口ずつ飲めという、曹操さまのご命令なのさ」
捷悟3、続々・楊脩の文字クイズ
曹操は、曹ガ碑を通り過ぎた。
碑には、
「黄絹、幼婦、外孫、セイ臼」
と書いてあった。
楊脩はすぐに分かった。楊脩が謎解きを始めようとすると、曹操が楊脩の口を塞いだ。
「いや楊脩よ、正解はまだ言うな」
曹操は自分で考えた。30里を過ぎたところで、曹操は分かった。
「黄絹とは、色つきの糸。つまり絶。
幼婦とは、少き女。つまり妙。
外孫とは、女の子。つまり好。
セイ臼とは、辛味を受けること。つまり辞。
4字目は、難しい漢字&旧字体だから、分かりにくいなあ。偏が「受」で、旁を「舌」と書いて、「辞」だった。
つまり、絶妙好辞=ナイスなフレーズ、ということか」
「そのとおりです」
「ああ楊脩は、オレよりも30里だけ頭が良いなあ」
『異苑』では、禰衡が正解を出してる。つまり曹操をやり込めるキャラなら、先に正解を悟るのは、誰でも良かったのかも。
夙慧2、天才児・何晏のとんち
何晏は7歳で、天才的な知恵を発揮した。
曹操は言った。
「何晏は賢いなあ。オレの子にならないか」
何晏は、地面にスクエアを描いて、その中にいた。
「何晏よ、これはどういう意味だ」
「何氏の廬(いおり)です」
ぼくは違うと思う。
「いま何氏は衰え、曹氏に居候しているかも知れない。だが私は、間違いなく何氏の子だ。何氏の領域を、曹操さまに侵させない。私は、他人の家の子にならない」
と言ったんだと思う。
曹操はこれを知って、何晏を帰した。
容止1、影武者が、匈奴の使者を謁見
魏王へ匈奴の使者が来ることになった。曹操は、自分のルックスが、遠国を威圧するのに足りないと思い、崔琰を代理に立てた。曹操は、刀を持って、整列した従者として紛れ込んだ。
謁見が終わった後、こっそり匈奴に確認を取った。
「魏王は、どのような人物でしたか」
「魏王は、すばらしい外見の持ち主でした。しかし、整列して刀を持っていた人は、英雄でした」
曹操は、この匈奴の使者を殺させた。
「こんな逸話が生まれるほど、曹操のルックスは冴えなかった。チビな人が、天下を治める器量を持つわけがないよね」
と、曹操を批難するためのエピソードでしょう。
次回、仮譎篇です。
つまり、人をだます話。曹操らしい話を読むことができます。