03) 曹操に通じた孫輔(+孫河
「呉志」宗室伝より、第1世代をやります。
『三国志集解』を片手に、ていねいに翻訳します。
グレーかこみのなかに、ぼくの思いつきをメモします。
孫輔は孫策に従軍し、丹楊の不服従民をうつ
孫輔字國儀,賁弟也,以揚武校尉佐孫策平三郡。策討丹楊七縣,使輔西屯曆陽以拒袁術,並招誘餘民,鳩合遺散。又從策討陵陽,生得祖郎等。
孫輔は、あざなを國儀という。孫賁の弟だ。
孫輔は、揚武校尉となり、孫策が三郡を平定するのを助けた。
時期的に、孫策が3郡を平定したころで、、くらいのノリです。
孫策が、丹楊の七縣を討った。
孫策は、孫輔を西にゆかせ、歴陽で袁術をこばませた。
孫輔に、行き場の決まらない、人民を集めさせた。孫策に従い、孫輔は陵陽を討った。祖郎らを生け捕りにした。
江表傳曰:策既平定江東,逐袁胤。袁術深怨策,乃陰遣間使齎印綬與丹楊宗帥陵陽祖郎等,使激動山越,大合眾,圖共攻策。策自率將士討郎,生獲之。策謂郎曰:「爾昔襲擊孤,斫孤馬鞍,今創軍立事,除棄宿恨,惟取能用,與天下通耳。非但汝,汝莫恐怖。」郎叩頭謝罪。即破械,賜衣服,署門下賊曹。及軍還,郎與太史慈俱在前導軍,人以為榮。
『江表伝』がいう。孫策は、袁胤を追いはらった。
孫策に「独立」させたい、『江表伝』の創作だろう。孫策がわざわざ駆逐しなくても、袁胤は、袁術とともに敗北していったはず。
袁術は孫策を怨み、丹楊の祖郎に、孫策を攻めさせた。孫策は、祖郎を生け捕りにした。
「袁術&祖郎 vs 孫策」ではない。
袁術は、現地民を味方にするため、祖郎に印綬を与えた。だが祖郎は、印綬に恩を感じず、袁術に反した。袁術の部将・孫策は、不服従民を討った。これでも話は通るのだ。むしろ自然?
孫策は、祖郎に云った。
「お前はオレを攻撃したが、これからは一緒にがんばろう」
祖郎と太史慈は、孫策軍の先頭にたった。
袁術と孫策の絶縁に、祖郎は関係がなかろう。
策西襲廬江太守劉勳,輔隨從,身先士卒,有功。策立輔為廬陵太守,撫定屬城,分置長吏。
孫策は西に、廬江太守の劉勳を討った。孫輔は、これに従った。兵士よりも、先に立って突っ込み、功績があった。孫策は孫輔を、廬陵太守とした。周囲を平定し、役人をおいた。
孫輔は、孫権を裏切り、曹操に手紙をかく
遷平南將軍,假節領交州刺史。遣使與曹公相聞,事覺,權幽系之。數歲卒。子興、昭、偉、昕,皆曆列位。
孫輔は、平南將軍に移った。假節、交州刺史になった。
曹操と通じ、それが発覚した。孫権は、孫輔を幽閉した。数年で死んだ。子は、興、昭、偉、昕である。みな官位を歴任した。
典略曰:輔恐權不能保守江東,因權出行東冶,乃遣人齎書呼曹公。行人以告,權乃還,偽若不知,與張昭共見輔,權謂輔曰:「兄厭樂邪,何為呼他人?」輔雲無是。權因投書與昭,昭示輔,輔慚無辭。乃悉斬輔親近,分其部曲,徒輔置東。
『典略』がいう。孫輔は、孫権では江東が保てないと心配した。孫権の留守に、曹操に手紙を書いた。孫権は、孫輔に云った。
「兄よ。どうして他人(曹操)に呼びかけたか?」
それなのに孫輔は、「他人」である曹操を頼りに思った。裏切り!
孫権は張昭に、孫輔が曹操にあてた手紙を投げた。孫輔は、東に部曲ごと移された。
孫姓を与えられた、ユ河
孫韶字公禮。伯父河,字伯海,本姓俞氏,亦吳人也。孫策愛之,賜姓為孫,列之屬籍。
孫韶は、あざなを公禮という。伯父の孫河は、あざなを伯海という。
もとの姓は、俞(ユ)氏という。呉郡の人だ。孫策は、孫河を愛し、孫姓をたまわり、親戚になった。
吳書曰:河,堅族子也,出後姑俞氏,後複姓為孫。河質性忠直,訥言敏行,有氣幹,能服勤。少從堅征討,常為前驅,後領左右兵,典知內事,待以腹心之任。又從策平定吳、會,從權討李術,術破,拜威寇中郎將,領廬江太守。後為將軍,屯京城。
『呉書』がいう。孫河は、孫堅の族子である。姑の俞氏をたすけ、のちに孫氏にもどった。
孫河の質性は忠直で、訥言敏行。氣幹があり、よく服勤した。
若くして孫堅に従い、前に立っては突っ込み、後ろにいては事務をこなし、孫堅の腹心となった。孫策が呉郡と会稽郡を平定した。
孫権に従って、李術を破った。
威寇中郎將となり、廬江太守となった。のちに孫河は將軍となり、京城に屯した。
孫權殺吳郡太守盛憲。
會稽典錄曰:憲字孝章,器量雅偉,舉孝廉,補尚書郎,稍遷吳郡太守,以疾去官。孫策平定吳、會,誅其英豪,憲素有高名,策深忌之。初,憲與少府孔融善,融憂其不免禍,乃與曹公書。(以下略)
孫権は、呉郡太守の盛憲を殺した。
『會稽典錄』がいう。盛憲は、あざなを孝章という。器量は雅偉。孝廉に挙げられ、尚書郎となった。呉郡太守に移った。病気で、呉郡太守をやめた。
孫策が、呉郡と会稽を平定すると、現地の英豪な人を殺した。盛憲は、もとより高名があるから、孫策は盛憲をにくんだ。
はじめ盛憲は、少府の孔融と仲がよかった。孔融は、盛憲が殺されることを憂い、曹操に手紙を書いた。
今回までのまとめ
孫堅:ろくでもない海賊、袁術の部将として死
呉景:袁術の行政官、袁術の末期は丹楊にこもって静観
孫静:故郷を固守し、孫堅、孫策、袁術、いずれにも仕えず
孫賁:袁術に寿春を与えたが、妻子を犠牲に袁術を離反
孫輔:後発組、孫策に仕えるが、孫権を曹操に売る
孫河:孫策の陰として、主体性なく従う ・・・てな感じで。100527