02) 臣下の死力を引き出すには
蔡志忠『マンガ 孫子・韓非子の思想』講談社1990
を読みました。
ここから『韓非子』の話を抜き出します。
マンガだから読みやすいのだが、さらに圧縮したメモです。
魯人、越に移る
靴と冠を売る商人が、魯から越へ行った。商人は言われた。
「越人は、裸足でざんばら髪だ。売れないよ」
遠水近水
海に大量の水があっても、遠ければ火消しに使えない。
泳ぎの名人が遠くにいても、目の前の溺れる子を助けられない。
遠くに強い国があっても、近い国との戦争には手を貸してくれない。
ゲイのために標的を持つ
弓の名人・ゲイのためなら、誰でも喜んで、的を支え持つ。
幼児が弓を構えたら、優しい母ですら逃げ出す。
予兆
隣人が乱暴なので、引っ越そうとした。止められた。
「引っ越す必要はないよ。乱暴者は、そのうち逮捕される」
「いや、私は引っ越すよ。あいつのシャバでの最後の悪事が、オレを殺すことだったら、どうする」
勇気の源
勇気の源は、利である。
ヘビは気持ち悪いが、ウナギは好かれる。毛虫は気持ち悪いが、カイコは好かれる。見た目は同じだが、利をもたらす生物は、気持ち悪さを忘れる。
虱の争い
太った豚の上で、虱が血をすう位置を争った。
「どうせこの豚は、生贄になる。争う必要はない」
虱は協力して、今のうちにと豚の血を吸った。豚は痩せて、生贄になるのを免れた。
あらかじめ余地を残す
名工が言った。
「人像を彫るときは、鼻を大きく、目を小さくする。なぜなら、大きな鼻は小さくできるし、小さな目は大きくできる。顧客の要望で、あとから調整が利くんだ。逆はできない」
書を焚く
本を背負った人が、隠者に言われた。
「世間は移り変わる。古い知恵など、使い物にならない」
2つの口をもつ虫
1つの体に、2つの口を持つ虫が、エサを争い、殺しあった。
1国の官吏が、私欲のために競っているのは同じ状況だ。
伯楽の教え
馬を鑑定する名人は、嫌いな人に、名馬の見分け方を教えた。好きな人に、普通の馬の見分け方を教えた。
「名馬はめったにいないから、鑑定法は役に立たない。中堅の馬は多いから、鑑定法を知っていると、実際に役に立つだろう」
千尋の谷
深く切り立った崖からは、子供も病人も、動物も落ちない。
厳しいものは、却って避ける。厳しい法律が必要な理由である。
僥倖心理
砂金を採った人は死罪だ。しかし砂金を採る人が多い。
「役人に捕まるとは限らないから、砂金を採るんだ。もし、天下の富が手に入るが、必ず死ぬというなら、天下の富は要らないよ」
勇者を育てるには・・・
越王は、太鼓を叩いたとき、必死に働いた人を、厚く褒めた。太鼓を叩けば、人は火事を消し、川に飛び込んだ。
戦場で、太鼓を叩いた。人は死を恐れず戦った。
名誉をたたえれば・・・
越王は、腹を膨らましたカエルに敬礼した。
「憤激したカエルですら、評価してもらえるのか」
ある人は、越王に評価してもらいたいので、自分の首を切り落とした。
聖者の教えは戯れ
ママゴトをした子供が言った。
「空腹だから帰ろう。泥のモチじゃ、空腹は満たされない」
古代の聖者の教えは、ごっこ遊びの泥モチだ。役に立たない。
情け深いと・・・
情け深い王は、国を滅ぼす。なぜか。情け深いと、功績がない人にも、褒賞を与えようとするからだ。罪人を罰さなくなるからだ。
洞察術
宰相は、側近の誠実さを試すことにした。
「門外に、白馬がいたぞ」
とウソをついた。同調した人を、不誠実だと見抜いた。
濫吹
斉のオーケストラに、笛を吹けない人がいた。
新しい王が独奏を好んだので、逃げ出した。
君主は、臣下の意見を1人ずつ聞くとよい。無能な人が、紛れ込まなくなる。
越王のテスト
越王は命じた。
「火事を消すのに手柄があれば、厚くほうびを与える。火を消さなければ、敵前逃亡と見なす」
信賞必罰すれば、人は勇敢に働く。