05) 矛盾した命令は最悪だ
蔡志忠『マンガ 孫子・韓非子の思想』講談社1990
のマンガを、さらに圧縮したメモです。
こぼすだけではだめ
馬はエサをやれば、飼育係が「太るな」と言っても太る。
馬にエサをやらねば、飼育係が「太れ」と言っても太る。
太子といえども・・・
急用で駆けつけた太子を、門番は特別扱いせず、ルールに則って通さなかった。門番は、二階級を特進した。
呉起、妻を追い出す
兵法家の呉起が、
「これと同じ絹帯を作ってくれ」
と妻に頼んだ。妻は工夫して、アレンジを加えた。呉起は、言いつけを守らなかったとして、妻を追い出した。
国にも猛犬がいる
良心的なのに、流行らない店があった。店の前に、猛犬がいるから、客が怖がって近づけないためだ。
国に猛犬が居たら、賢人が集まってこない。
斉王のお后選び
斉王は10人の美女を囲った。宰相は、斉王があげた耳飾のグレードの違いを見て、寵愛の順位を知った。
宰相は、君主の好き嫌いに敏感である。そんな宰相に囲まれているから、君主は道を誤る。宰相は、君主の権勢を仮りて、偉そうにする。
用術の基本
魏王が裁判の勉強をしたが、退屈だった。
王には王の仕事があり、裁判官には裁判官の仕事がある。
法術なしに国は治まらない
馬使いの名人は、ムチを使わなくても、馬を早く走らせる。
国を治める名人は、法律を整えるだけで、うまくいく。
威力は分散するな
2頭の俊足の馬でも、違う方向に走ると、ダメ。
手綱とムチの威力が足りないのではなく、馬の力が分散されているから、ダメなのだ。
もし君主の権限が、臣下に分散したら、国を治められない。
利で釣るのは、頼りにならない
優れた馬も、野菜畑で道草を食うと、走らない。
双頭の馬車
御者が2頭の馬に、同時に違う指示を出せば、馬は迷ってしまう。馬車は進むことができない。
琴の名手2人が、同じ琴の両端を使って演奏すれば、聴けたものではない。
両立は不可能
堯や舜が指導して、産業を興したのは美談だ。
だが堯や舜が指導したということは、その時点では、産業がうまくいっていなかった証拠だ。堯も舜も、名君と言われるが、大したことはない。
君主が自ら出向いて指導するなど、芸がない。法律で導けばよい。
子産の裁き
夫を亡くした妻を、子産は裁いた。
「妻の泣き声には、嘆きでなく、恐れが混じっていた。妻が夫を殺したに違いないと、感づいたのだ」
いちいち子産が取り調べるのは、効率が悪い。天下に法を張り巡らせばよい。
虎に翼
似つかわしくない人間に権勢を与えたら、虎に翼を与えるのと同じだ。暴虐な桀王や紂王は、ただの殺人犯なのに、権勢があったから、多くの人に迷惑をかけた。
矛と盾
最強の矛で、最強の盾を貫いたら、どうなるか。
良薬は口に苦し
洗髪すると毛が抜けるが、洗髪しないわけにはいかない。
膿を出すのは痛いし、良薬は苦い。政治も同じで、ちょっとした損失は受け入れないと、治まらないのだ。
アリ塚には足をとられる
小さなアリ塚で転ぶが、大きな山にはつまずかない。
刑法を軽く定め、人を罰するのは、人をワナにはめるようなものだ。
待ちぼうけ
切り株にウサギが激突して死んだ。それを見た人は、切り株の見張りばっかりして、身を滅ぼした。2度目はないのに。
古代の先王の政治をありがたがり、現代に当てはめるのは、切り株の男と同じだ。先王の成功は、1度きりなのに。
長袖、よく舞う
袖が長いと、舞踊が引き立って見える。財力があれば、儲けも大きい。国力があれば、政治改革の失敗は少ない。
だが、国力の小さな国では、1度の改革でも覚束ない。
前提条件が違えば、やれることも異なる。
次回、少し考察をします。ここまで書いて思ったことを。