04) 私怨と公務は、別です
蔡志忠『マンガ 孫子・韓非子の思想』講談社1990
のマンガを、さらに圧縮したメモです。
口は達者でも・・・
公孫竜の一派は「白馬は馬ではない」と詭弁した。
ある日、白馬に乗って関所を通ろうとした。
「白馬は馬ではないから、馬の通行料を払わなくていい」
と主張したが、門番は許さなかった。詭弁は、門番にすら勝てない。
方術
小さな町でも、仕事を全部自分でやろうとしたら、治まらない。そんな人が、天下を治めるなんて、絶対にムリだ。
天下を治めるには、ルールを制定せよ。そうすれば、宮廷でゆっくりできる。
無用の瓢箪
立派な瓢箪をプレゼントされたが・・・
「皮が厚くて、穴を開けられない。酒が入らない。固すぎて、2つに割ってヒシャクにすることもできない。立派には
違いないが、無用だから捨てましょう」
賢い隠者を気取っている人は、この瓢箪と同じである。立派かも知れないが、国家の役に立っていない。
ムチに描く
3年もかけて、ムチの柄に装飾した人がいた。装飾はとても見事だったが、機能は単なるムチと同じである。
主客転倒
最高級の宝石を、箱ごと売った。
「見事な宝石箱だ。中身はいらんから、箱だけくれ」
飾りすぎると、中身が外見より劣る。文章を飾りすぎる人は、気をつけるべきである。
まいた種は、刈り取れ
韓の昭侯にアドバイスした人がいた。
「臣下の言い分を聞き入れるから、国が治まらないのです。臣下を無視すれば、国が治まるでしょう」
同じ人が、昭侯に個人的な頼みごとをした。
「さて、私に臣下を無視せよと言ったのは、お前だったはずだが」
法は、分け隔てがないから、うまく運用される。
自分の足より寸法書
靴屋で、男が困った。
「しまった。私の足の寸法書を、家に忘れてきた。靴を買えない」
男が家を往復する間に、靴は売り切れた。
古代の先王の教えを、ひとつ覚えに守る人と同じだ。
絵で難しいのは
妖怪は、誰も見たことがないから、描くのが易しい。
犬馬は、みんな毎日見ているから、描くのが難しい。
婦人の仁
買ってきたスッポンが、のどが渇いたと言った。川に入れてやると、スッポンは逃げた。
凡人が、見返りを求めて誰かを助けると、ろくなことがない。
好きだから、求めない
魯の宰相は、好物の魚をプレゼントされても、受けない。
「もし魚を受け取れば、汚職を疑われ、宰相の地位を失う。
宰相の地位にいれば、いくらでも魚を自分で買えるのだ」
私怨は、公門に入らず
ある人が、ライバルを推挙した。君主が聞いた。
「あいつは、お前のライバルだ。なぜ推挙するのか」
「個人的な感情は、公務に持ち込まないのです」
「感心だ。では、中府の役人は、誰がいいか」
「私の息子がいいでしょう。我が子を、私情ぬきで推薦します」
公私のけじめ
自分を恨んでいるはずの人が、自分を推挙してくれた。もう恨みが消えたと思って、訪問した。矢を射かけられた。
「お前への私的な恨みは消えぬ。公の場で、けじめを付けただけだ」
言ったことは、実行せよ
子供を慰めるため、妻が「今夜はブタを殺して食べるから、大人しくしなさい」と言った。
夜、夫は本当にブタを殺そうとした。妻が言った。
「勿体ないよ。子供をなだめるウソだったんだ」
「親がウソをついたら、教育が成り立たないよ」
報恩は避けよ
逆境になった宰相を、特別扱いした役人がいた。役人は聞いた。
「あなたが宰相に復帰したら、特別扱いしてくれますね」
「いいえ。私は有能な人物を用いるだけ。特別扱いはしない」