06) 国境で会戦する理由は?
元の『孫子』の論理構成を殺した「名言集」みたくなってますが、
「曹操が書いたもの」
というだけで、語録を作る価値を感じています。
10章、地形篇
自分の死に場所ぐらい、頭に入れておけ。
「自分が死ぬ場所=戦場の、地理的な特徴くらい知っておけ」
ってこと?
ちなみに曹操さんは、洛陽のフカフカのベッドの上で死にます (笑)
殺される前に、殺してしまえ。
幹部に、恩賞を与える権限を持たせると、派閥や私党が生まれる。幹部に、刑罰を与える権限を持たせると、暴君まがいに勝手をする。幹部のワガママを聞いてやると、目が合ったというだけで人を殴る。こんな連中は、役に立たない。
11章、九地篇
国境地帯が戦争になるということは、こちらの侵攻作戦が敵軍に読まれていたのだ。
国境で戦うとき、兵士は敵地に来ているという緊張感がない。すぐに家に帰りたいと思う。そういう心理を、敵に突かれると負ける。
中立国を味方に引き入れるには、敵にまちがって中立国を侵犯させろ。
大人数の敵軍が、一致団結して隙がなく、真正面から向かってきたら、どう対処したら良いか。敵の予想のウラをかけば良いのである。そうすれば主導権がこちらに移り、勝てる。
根拠のないデマは、取り締まるべきだ。軍略の分からんバカな将兵に、勝ち負けを論じさせてはいけない。将兵に疑惑を持たせず、指導者との間に、良好な信頼関係を築け。
敵国の財物を焼き払うのは、戦術のためである。盗みを許してしまうと、組織の秩序が乱れる。
しかし規律が乱れるくらいなら、プラス2を敢えて狙わない。
軍隊の統制は、兵士全員が同じ表情をしているぐらい、金太郎飴の状態が望ましい。
『孫子』は「戦争は非常時だから、兵士に余計なことを考えさせず、指揮命令だけに関心を向けさせよ」と説く。
これを「兵士の思考力を麻痺させろ」と読むのは誤りだ。兵士と苦楽をともにしてこそ、指揮命令が徹底される。
「覇王」とは、天下の諸侯が同盟&合意して、祭り上げるものではない。始皇帝のように、全ての諸侯と敵対&打倒して、権力を掌握する存在だ。
刑罰と恩賞は、『孫子』のように単純にセットで語れない。
刑罰は、予め見せしめることはできる。だが恩賞は、予め授けることができない。恩賞は、後払い契約だから「確かにちゃんと払います」と約束し、信用させるしかない。
利益で誘導されたに人間は、不利になるとやる気がなくなる。生死に直面し続けてこそ、精神力が鍛え上げられるのだ。
仕事に生死を賭けたくないから「臣下」をやっていることを、曹操にも分かってもらいたいものである (笑)
12章、用間篇
お祈りしても、敵の情報は手に入らない。
『易経』で判断するような微妙な兆候では、本当のことは分からない。
ほんの一部を調査しただけで、宮殿の奥深くの謀略は分からない。
次回、最終章と、ちょっとした感想を述べておきます。