表紙 > 漢文和訳 > 江戸時代の『通俗続三国志』口語訳-巻01

02) 物語の始まり:漢史

西晋が孫呉を討ったところから、話は始まります。

語りはじめ

漢の高祖=劉邦が自立したとき、周王朝の徳を継いだ。
劉邦は、秦王朝が定めた厳しすぎる法律をやめて、法三章だけを定めた。天下の万民は、劉邦を支持した。劉邦は、秦と楚(項羽)という強敵を滅ぼして、漢王朝を建てた。
だが漢王朝は末代になると、強い臣下や、侫人に邪魔されて、国を奪われた。光武帝は、劉氏の皇統をついだ。前漢と後漢を合わせると、漢王朝は400年も続いた。

ここまでは、当たり前のことの概説だ。

しかし、盛んなものは必ず衰えるのがセオリーだ。

まるで『平家物語』です。盛者は必衰なり。
中国の『三国演義』は、「1つのものは必ず分かれ、分かれたものは必ず1つになる」としか言ってない。日本人の方が湿っぽいな。


漢王朝の次は、三国時代になった。漢王朝の火徳は、光が消えかかった。魏と呉が強さを競い、大陸はバラバラになりかけた。

献帝が曹操に握られた。この文は、赤壁が開戦する直前のことを指しているのか。しかしそれは三国時代ではないし・・・
感情的な解説だから、やや意味が不明。詮索しちゃダメなのか。

だが天は、人々を見捨てなかった。
天は、劉備を登場させた。劉備は、追い詰められても、仁に叛かなかった。100回負けても、志を挫けさせなかった。さすが劉備は、漢皇帝の一族である。
それだけではない。天は、賢哲な人物を登場させ、劉備を助けさせた。劉備は、大陸の片隅に、建国することができた。
君臣の結びつきは、人民の結束を強めるものだ。蜀漢は国力が弱くても、強者として畏れられた。
しかし丞相(諸葛亮)が死に、姦雄に志を得させてしまった。蜀漢が滅びて1000年以上経ったが、いまだに痛憤なことだ。

だが天は、漢の火徳が消滅するのを残念に思ったのである。天は、劉氏の一族に、漢室を3たび復興させるチャンスを与えた。蜀漢の人たちが信じたものは、途絶えていない。

「3たび」という言葉に期待を持たせて、物語の幕が開きます。