表紙 > 漢文和訳 > 江戸時代の『通俗続三国志』口語訳-巻01

06) 旧呉の忠臣たちの結末

前回、孫呉の周魴の子・周処が、西晋を破った!
もう1つの呉晋の戦いに、場面が移ります。

このペースで口語訳してると、永遠に終わらないので、、少しスピードアップします。原典との距離の取り方を、探っている最中です。。

吾彦のたたかい

西晋の賈充の甥・賈模と、夏侯駿は、湘東を攻めた。晋軍は、建平郡の境界にきた。

建平太守は、呉郡の人・吾彦である。吾彦は有能だ。かつて益州で、晋の王濬が大型船を作り始めたとき、吾彦は孫皓に、警戒を促した。

これは三国ファンの守備範囲だ。
「長江の上流から、木屑が流れてきます。きっと上流の益州で、大きな船を造っています。その船で攻め降られたら、わが国は大ダメージを受けるでしょう」
孫皓は、聞き入れなかったけれども。

孫皓が降服した戦闘のとき、王濬は吾彦に手を出すことが出来なかった。吾彦がいるから、建平郡は西晋に従わない。
吾彦は、湘東太守の滕條と語った。
「もし孫呉が滅びても、恩を忘れまい。晋軍が遠征してきて、心を落ち着ける前に、一気に攻めよう。勝ってから、広州の陸晏さまと結びつけば、孫呉を復興させることができる」

晋将の夏侯駿は、黄金の兜をかぶっている。賈模もまた、煌びやかな鎧を着ている。

西晋の油断ぶりを伝えるための描写です。貴族っぽいボケ将軍です。

夏侯駿は、吾彦に言った。
「呉は滅び、晋が天下統一したのだ。降れ」
だが吾彦は、聞き入れない。
吾彦は、晋将の辛冉と李微の2人と、1人で互角に戦った。呉将の滕條も参戦した。晋将の賈模と夏侯駿は敗れ、3万人を失った。賈模たちは、洛陽に助けを求めた。

戦闘シーンをザクッと省略したので、短くなりました・・・
西晋の2方面軍は、ともに苦戦して、洛陽に泣きついたことになる。対句が成立しています。

孫皓からの手紙

ここは洛陽。武帝は報告を受けた。
「広州太守の陸晏、建平太守の吾彦らが、いまだに孫呉への節度を守って、西晋に従いません」
武帝は、対応策を諮った。
張華が言った。
「陸晏と吾彦は、忠心ある義士です。だが彼らの旧主・孫皓は、西晋の手の内にあります。孫皓に命じて、彼らを降服させましょう」

孫皓が、武帝の前に召し出された。
「陸晏と吾彦を、説得してくれないか」
孫皓は答えた。
難しいことではありません。お任せ下さい」

孫皓に、こんな登場シーンを作るとは!

孫皓の書状は、まず吾彦に届いた。吾彦は涙を流した。
「孫皓さまが、このように仰っておるのだ。誰のために、建平郡を守る必要があろうか。陸晏さまを説得して、ともに西晋に降ろう。賈模どのの陣地へ、投降しよう」
陸晏、陸玄、滕修、王毅らも、洛陽に出向いた。孫皓に再会して、西晋に帰属した。こうして天下は、ようやく泰平となった。

三国志の世界のエピローグが終わった。


次回からオリジナルなストーリーの暴走が始まります。
蜀漢が滅亡する場面まで、一時的に遡ります。