表紙 > 読書録 > 三国演義に載らなかった民間伝承『三国志外伝』

02) 諸葛の嫁とりバリエーション

立間祥介・岡崎由美訳『三国志外伝』民間伝承にみる素顔の英雄たち
徳間書店1990年
を短縮してご紹介しています。

関羽が貂蝉のカゲを斬る

呂布が降服して、劉備は貂蝉を手に入れた。
劉備は貂蝉に、骨抜きにされた。張飛も、貂蝉に色目を使って、さっぱり使い物にならない。
「女のせいで、オレたち3人の志が折れてしまう」
関羽はそう心配し、貂蝉を斬ることにした。

だが、いざ貂蝉と対峙すると、関羽も貂蝉に惚れてしまった。関羽は貂蝉を斬る気力をなくし、青龍刀を取り落とした。
青龍刀は貂蝉のシルエットの上に落ちた。
貂蝉の首が、ころりと転がった。 湖北省襄樊市で採録。

張飛のみごとな裁判

劉備とはぐれた張飛は、古城で県令を気取った。
ある日、
「この女は、スイカ泥棒です。張飛さま、罰して下さい」
と訴える人がいた。泥棒と呼ばれた女は、乳児を抱いている。張飛は、原告の訴えを退けた。
「女は、子供を放さない。スイカを盗めるわけがない」

また別のとき、
「この男は、ナベ泥棒です。罰して下さい」
と訴える人がいた。泥棒と呼ばれた男は、手足が不自由である。
張飛は、
「手足の不自由な人が、大きなナベを持てない。冤罪だ」
と判決した。張飛は被告に、
「大変な目に合ったな。可哀想に。ナベは、お前のものにしていいぞ」
と言った。
被告は嬉しがり、ナベを頭に被って立ち去ろうとした。
「ちょっと待て。前言撤回。犯人はお前だ!」
張飛は、手足の不自由な男に自白させた。

面白いけど、三国志や張飛でなくてもいいネタだ。

湖北省襄樊市で採録したそうです。

300年先が見えるアイテム

諸葛亮は、金大鵬というタカの化け物を騙して、羽毛を盗んだ。諸葛亮は、羽扇を手にしたことで、過去300年と、未来300年を知ることができた。

未来300年・・・五胡十六国と南北朝時代で、けっきょく中国大陸が統一されないことを見たのか。希望をなくしそうだが。

湖北省宜都県で採録したそうです。

諸葛亮の嫁とりの結末

諸葛亮は、黄承元の家を訪問した。大きなイヌやトラが襲い掛かってきた。よく見ると、動物は木製だ。
「驚きましたか。娘が作ったカラクリですよ」
諸葛亮は、カラクリを作った、娘の才覚に感心した。諸葛亮は、不細工として有名な黄氏の娘を娶った。
だが会ってみると、黄氏は美人だった。
見てくれで判断しない、賢い人のお嫁に行きたかったのです。だから、わざと不細工というウワサを流してもらいました」

この伝説に出てくる諸葛亮は、凡人なみに、妻になる女の容姿を気にしていました。初めから諸葛亮が、男のサガを超越した聖人だったら、話が面白くないわけで。

湖北省襄樊市で採録したそうです。

満月を描かない理由

黄承元は淋しそうに、半月の絵を描いた。諸葛亮が聞いた。
「今夜は満月です。写生にしては、下手すぎませんか」
「いいえ、娘がいないから、淋しいのです」
「それは、いけませんね。娘さんを探してあげましょう」

黄承元の娘が見つかった。だが黄承元は、半月しか描かない。
「娘さんと再会したのに、なぜ満月を描かぬのですか」
「あなたのような婿がいないから、淋しいのです」
「分かりました、私が娘さんと結婚してあげましょう」
湖北省京山で採録したそうです。

諸葛亮車

黄承元の娘は、諸葛亮に謎かけをした。
輿に乗らず、馬に乗らず、船に乗らず、歩きもせず、私の家に来られたら、お嫁に行ってあげましょう」

ぼくなら、走っていくだろう (笑)

諸葛亮は、あの車椅子を設計して、黄氏を迎えにいった。
「何という理系のセンス! 私は諸葛亮さんに嫁ぎます」
湖北省襄樊市で採録したそうです。

諸葛亮の立ち読み

諸葛亮は、読書が好きだ。黄氏の家に転がり込んで、読んだ。
諸葛亮は、ため息をもらした。
「黄氏の本の品揃えは抜群だ。だが、兵法書だけがない。兵法書が読めないのは、残念なことだ」
黄氏が言った。
「うちの娘の頭の中に、兵法書が入っています。お持ち帰り下さい」
湖北省咸寧で採録したそうです。

諸葛亮が釣った、海老と雑魚

劉備は、諸葛亮を味方にしたいと思った。
張飛が諸葛亮を訪問したとき、諸葛亮は釣りをしていた。
「なあんだ、釣れたと思ったら、海老か」
つぎに関羽が、大金を持って訪問した。
「つぎは雑魚か」
最後に劉備が訪問した。諸葛亮は、釣りをしていない。諸葛亮は旅支度をして、劉備を待ち構えていた。

最低だ。釣りをしている後ろから、劉備が話しかけるべきだ。周の文王と太公望の故事のパロディーを作るなら、泉のほとりから発展させるべきだ。準備万端の諸葛亮なんて・・・イメージが違う。

陝西省の五丈原で採録したそうです。五丈原??